昇華転写、プリントについてのご紹介です。
昇華転写とは、転写媒体に分散染料で左右反転出力された図柄を、
熱と圧力によってポリエステル素材に転写・浸透させる染色方法です。
名前の由来は、物質が固体から液体を経ずに気体へ変化する昇華から
きています。
しかしながら、当初は加熱することにより染料が昇華しているものとして考えられていましたが、後に実際には固体から液体を経て気体に変化していることが知られています。
昇華印刷の手法は1960年代にヨーロッパで実用・商業化されました。
テープに染料を塗布したインクリボン方式や、転写媒体への出力がシルクスクリーン印刷によるものでしたが、1990年代に転写媒体への出力がインクジェットプリンターになったことにより、フルカラー(多色刷りなどの色が限定される物と対比しての意味で、あらゆる色が出力・表現できることではありません。)での出力・美しい階調表現が可能となりました。
昇華転写プリントは、デザインデータをインクジェットプリンターで転写紙に出力する工程と、転写紙に出力されたデザインをヒートプレス機でポリエステル生地に転写する工程からなります。
また、この印刷工程において、水は一切使用しないため、汚水排出のない地球環境にやさしい捺染印刷です。
印刷技術の向上とポリエステル生地の高機能・多品種化により、
『プリントデザイン×生地×縫製』の組み合わせから出来上がる製品の種類や用途は多岐にわたります。
ポリエステル生地に特化した印刷手法のため、生地とインクの相性は最適です。
インクジェットプリンターならではの美しい階調表現でイメージに近いプリントが可能です。
デザインデータをそのままインクジェットプリンターで出力するので、スクリーン印刷のような色数に伴う製版・版代は発生しません。
スクリーン印刷と比較して、1点~小量ロットの印刷において費用を抑えることが可能です。
印刷部位は生地を染色しているため、剥がれ・ひび割れ・ベタつきはありません。
通気性や吸水速乾性などを損なうことなく印刷が可能です。
ポリエステル生地には豊富な種類があります。
用途に合わせて生地をお選びいただけます。
プリントが可能な生地は、基本的にはポリエステル100%の白色生地です。
コットンやシルクなどの天然繊維やナイロンやアクリルなどの化学繊維は染色できません。
また、ポリエステルであっても黒色などの濃色生地には発色しません。
昇華転写プリントするには、生地表面にポリエステルが存在することと、転写の際の加熱に耐えられることが最低条件と考えられます。
しかし、混紡生地や色付き生地であっても条件によっては昇華転写プリント可能な場合があります。 事前にご相談ください。
白色やメタリック色などのインクが存在しないためプリントできません。
そのため、データ上のCMYK値がC0M0Y0K0の部分は生地色で表現されることになります。
また、ゴールドやシルバーなどの光沢がある色やメタリック色のプリントもできません。
光沢感を表現をしたい場合にはデータ上での工夫などが必要となります。
よほどの薄い生地でない限り、生地の表から裏まで染め抜くことはできません。
また、薄い生地であっても織り方や編み方,薬剤などによって裏抜けの程度は異なります。
そのため、プリント後の生地裏面は印刷部位が白っぽく透けたような状態になります。
通常の片面転写から転写有効範囲などのプリント条件は増えますが、生地裏面にもプリントする両面転写という手法もあります。 事前にご相談ください。
転写の際に加熱する都合上、生地に縮みが生じます。
プリント工程においては、ある程度の縮み量を考慮したうえでの出力・転写となりますが、プリント生地の使用用途によっては後工程(縫製加工など)での寸法調整が必要となります。
昇華転写の特性上、再加熱による印刷部位からの再昇華を生じます。
再昇華は色移り・退色・ブリードなどの原因となるものです。
温度・時間・あて布などの配慮が必要となります。
昇華転写プリントサービスについてのご相談・お見積りを承ります。
オリジナルデザイン生地製作の際は、ぜひ弊社プリントサービスをご活用ください。